有田焼って、すごいんですよ。何がすごいって、品質です。日用食器として馴染みのある有田焼ですが、実は業務用食器としての歴史が長く、今もそのプロ仕様の器がやきものの町「有田」を下支えしているんです。業務用食器というのはデザイン性ももちろんですが、まず丈夫さが求められます。旅館やホテル、料理屋、レストランでは日々、限られた時間の中で大量の器をあつかうので、欠けたり割れたりするリスクは一般家庭よりもずっと高い。その強度を求められる業務用食器の中でも、丈夫だと定評があるのが有田焼なんです。

 ではなぜ有田焼が丈夫なのかというと、その大きな理由のひとつが恵まれた原料にあります。有田は磁器発祥の地で、地元の泉山から磁器原料が発見されてからやきものの町として発展してきました。ただ明治後期あたりから熊本県産の天草陶石への原料の移行が始まります。天草陶石を砕いて作る陶土は可塑性があって生地の白が美しく、そしてなおかつ高い強度を持っている。その世界も認める最高品質の磁器原料を使って 高温でじっくりと時間をかけて焼き上げることにより、さらに強度を高めていく。だから、有田焼は強いんですね。

 でもねえ、家庭で使うにはデザインが…。いえいえ、有田に行ってみて下さい。その量が半端ではないのです。まさにより取り見取りの世界。確かに家庭用食器に比べると全体的に派手な印象はありますが、だからこそ面白い。近年は最新技術によって幾何学的でシャープなデザインの器も続々登場してきて、和と洋が融合したようなアートな世界も広がっています。うまく使いこなせば、ハレの食卓を彩るとっておきの器になりそうな、そんな器たちです。

 お値段は少々張りますが、だからこそ、ねらい目は有田陶器市。一般食器に混じって、お買得の品がうず高く積まれていたりするのです。どうです、掘ればザックザク!の宝の山に思えてきませんか?

「有田陶器市」は毎年4月29日から5月5日までのゴールデンウィークに開催されます。一般向けの器に混じってB級品の業務用食器も安価でガラガラと山積みされているので、その気になって探せば自分にとってのお宝が見つかるかもしれませんよ。